【仏具・お供え】お仏壇の飾り方まとめ【各宗派のルール】
上記の疑問に答えます。
✓ 本記事の内容
- お仏壇の飾り方・お供え物が分かる
- 宗派別の必要な仏具が分かる
- 宗派ごとのルールが分かる
- 仏事の際の飾り方が分かる
この記事を書いている僕は仏壇職人歴13年です。
そしてマルスエ佛壇は、大正14年に創業してから、数多くのお客さまのお仏壇に関わってきました。
ありがたいことに、毎日、色々なお客さまに来ていただいています。
そんなお客さまから様々な悩みを聞いて、お仏壇の飾り方の相談に乗るのも、マルスエ佛壇にできることのひとつです。
今回はそんな経験から、「仏壇の飾り方」についてまとめます。
*記事は7分ほどで読み終わります。詳しい解説は詳細リンクを貼っておきました。
日常のお仏壇の飾り方
仏具の並べ方(宗派別)
宗派ごとのルールに沿って、仏具を揃えましょう。
お仏壇は、お寺を自宅で再現したものだからです。
宗派ごとの並べ方ですが、画像の方がわかりやすいので、画像付きで解説します。
以上のとおり。
そして、例外もありますので、注釈します。
というのも、大きいお仏壇なら、図解通り仏具を並べられると思いますが、小さいお仏壇や家具調仏壇の場合は、スペース的に、図の通り並べることができないこともあります。
次の項で解説するお供えができるように、肝心なものは残しつつ、省略した並べ方も出来ます。
ですが、プロでも限られたスペースに仏具を並べるのは、悩むものです。
マルスエでは以下を基準に仏具を提案しています。
必須
- ご本尊
- ご本尊のための具足
(三具足(花瓶、ロウソク立て、香炉)、華鋲or湯茶器、仏器) - お参りするための道具(おリン)
正式な飾り方に必要なもの
必須に加えて、
- ご本尊のための具足
(五具足(対の花瓶、対のロウソク立て、香炉)、対の華鋲or湯茶器、仏器) - ご本尊を照らす道具(輪灯瓔珞・灯籠)
- お参りするための道具
(おリン、お供えのための供花や高坏、お経を入れる五帖・一帖、宗派によって木魚) - 両脇仏(脇掛)
- 両脇用の具足(正式には、三具足と仏器。略式は仏器のみ)
- 具足用の台(上卓、前卓、和讃卓)
- 上卓、前卓用の打敷
あると便利なもの
更に、必要に応じて、
- 経机
- 地火灯
- 供物台
- 線香や蝋燭の収納具
- 香合
- 座布団
- お経本
上記がだいたいの基準です。
参考にしていただいて、必要な仏具を揃えましょう。
お供えの仕方
必要な仏具が分かったところで、本項はお仏壇のお供えについてです。
お仏壇へのお供えの基本は五供(ごくう)です。
【香・花・灯り・お水・ご飯】をお供えするのが、どの宗派にも共通しています。
宗派ごとに細かい作法が言われているのですが、まずはこの基本に習うといいと思います。
お供えする意味も併せて解説します。
【香】 お線香・お香を焚く
- 素の自分に戻ってお祈りするために、自分を清めるため。
- ご本尊や故人は香りを食べる、とされており、お供えするため。
【花】 花を飾る
- 素の自分に戻ってお祈りするために、花を見て心を清めるため。
- 厳しい冬を越して咲く花を、人生にたとえて、願う意味。
仏花として売っているものは、菊や蓮華が多いですが、自由です。
【灯り】 灯籠、輪灯、ろうそくを灯す
- 知恵の象徴である仏様を照らして、導いてもらう
- 火はいずれ消えるので、「諸行無常」を意味している
最近はお仏壇が汚れてしまったり、火災の原因になるので、電気で代用することもあります。
詳しくは:【ろうそく・灯籠・輪灯】お仏壇の電気まとめ【トラブル対策も解決】
【お水】 浄土真宗は華鋲・その他は茶湯器にキレイなお水を入れる。
- 素の自分に戻ってお祈りするために、自分を清めるため
- お仏壇は浄土を表していて、浄土にはキレイな水があるので再現しているという考え方
(浄土真宗) - 仏様や故人へのお供え物の意味
(浄土真宗以外)
【ご飯】 仏器にご飯を備える
- ご飯を備えるのは「満足に生活できていること」を表していて、感謝するため
ご本尊や故人は供えたご飯を食べるという意味ではないので、手を合わせたら下げてOKです。
詳しくは:【仏壇のお供え】仏飯について【毎日ご飯じゃなきゃだめ?】
ぶっちゃけ、すごく共感してしまう意見です。
全て完璧にこなそうと思うと、時間とお金がかかります。
細かいルールも多く、めんどくさく感じてしまう気持ちも理解できます。
仏教は宗教です。
宗教とは「信仰」ですので、ご本尊を信じて、リスペクト(尊敬)するということですね。
このあたりは、尊敬している目上の方や大切な人に礼儀を尽くすのと同じで、正しい作法でお祈りするということに意味があるのかな、と個人的に思います。
ここは個人的な意見なので、余談でした。
日常以外の飾り方
喪中の飾り方(宗派ごとにルールがある?)
まずはじめに、浄土真宗を信仰している場合は「往生即成仏」という考え方があり、「喪に服する」という考え方が存在しません。 「死後すぐに、極楽浄土へ行くので、死はめでたいこと」というような発想です。
参考外部リンク:喪に服すとは?|浄土真宗本願寺派 正楽寺
その他の宗派は喪中が存在します。
- 打敷を白地にする。裏返して裏地の白にする。
- 白い花を飾る。
ほかにも調べると色々でてくるかもしれませんが、地域によるもの、根拠のないものもあります。
たとえば、「四十九日まで仏壇を閉じる」という話を聞いたことがあるかもしれません。
ですが、お寺さんに聞いてみたところ、そのような作法はないそうです。
たぶん、神道で、死後50日間神棚を閉じて白い半紙を貼っておく「神棚封じ」という儀式があるので、それと混同されているのかもしれません。
以上のように、間違っていそうな喪中の飾り方があるかもしれませんので、旦那寺(ふだん仏事をお願いしているお寺さん)に相談して、教えてもらうのがおすすめです。
【番外編】後飾り(中陰壇)について
葬儀がおわり、火葬場から自宅に戻った遺骨を、埋葬の日もしくは忌明けまで安置する祭壇です。
たいてい、2〜3段で白い布をかけることが多いです。
飾り方は、
- 上段:遺骨、遺影
- 中段:白木位牌
- 下段:具足(花瓶、ロウソク立て、香炉)、おリン、仏器、華鋲or茶湯器
上記が基本になりますので、お仏壇を持っている方はお仏壇の仏具をそのまま使えると思います。
お盆の飾り方(宗派ごとにルールがある?)
お盆は先祖が帰ってくるのをお迎えする、という仏事ですが、ここでも浄土真宗は「往生即成仏」の考えから、死者が帰ってくるという考え方がないので、浄土真宗にお盆はありません。
お盆の飾り方は、宗派によって考え方や飾り方が異なります。
宗派ごとのお寺のHPからガイドラインをまとめましたので、リンクしておきます。
以下のリンクは、「本山」という、宗派の大元が発信しているガイドラインなので、信頼性が高いと思います。
ご自分の宗派のHPを参考に、お盆を迎えましょう。
*本山HPにお盆の飾り方についての解説がない宗派は、本山以外のお寺のリンクを貼っておきました。
臨済宗妙心寺派臥雲寺: お盆について | 臨済宗 妙心寺派 臥雲寺
天台宗:天台宗:Q&A(回答)
真言宗智山派青龍山真福寺:お盆ー安らかなる心をともに - 真言宗智山派青龍山真福寺
彼岸の飾り方
次に、お彼岸の飾り方について解説します。
お彼岸は日本独自の仏事です。
ざっくりまとめると、お彼岸とは「先祖供養」と「六波羅蜜」の修行を行う、というものです。
「六波羅蜜」とは、悟りのために6つの修行徳目(課題みたいなもの)のことです。
参考外部リンク:波羅蜜 - Wikipedia
お彼岸も各宗派によって違いがあるので、各宗派のリンクをまとめました。
「供養」「修行」というキーワードから、やはり浄土真宗ではお彼岸を行いません。
浄土真宗(大谷派):お彼岸を迎えるのに準備するものはありますか? | 真宗大谷派(東本願寺)真宗会館
臨済宗妙心寺派:お彼岸のこころ | 法話の窓 | 今月の法話 | 妙心寺
お彼岸といえば、「おはぎ」「ぼたもち」というイメージでしたが、取材の結果、「おはぎ」「ぼたもち」をお供えするのは作法というより、昔からある習慣のようです。
更に、お彼岸のお供えや飾り方について明示していない宗派もあります。
その理由ですが、元々お彼岸はお寺で行う「彼岸会」が庶民化されたものなので、お仏壇の飾り方に関してはガイドラインがない、ということかもしれません。
記事のまとめ
- お仏壇はお寺を自宅で再現したもの
- 仏具を飾る際は、宗派別の飾り方に習う
- お仏壇に合わせて、仏具を選ぶ
- 五供(ごくう)【香・花・灯り・お水・ご飯】をお供えする
- 仏事の際は、宗派別ガイドラインを参考に、お仏壇を飾る
こんな感じです。
この記事を読めば、お仏壇の飾り方のだいたいのパターンはご紹介出来ているとは思いますが、もし疑問が残ってしまったり、分からないことがあれば、ご相談に応じます。
気軽にお問い合わせしてみてください。