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【名古屋の伝統工芸品】名古屋仏壇まとめ【価格・値段も解説】

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名古屋仏壇について知りたい人
「名古屋仏壇とは?」
「他の仏壇とどう違うの?」
「選び方があれば、知りたい」

こういった疑問に答えます。

✓ 本記事の内容

  • 名古屋仏壇についてわかる。
  • 名古屋仏壇の選び方が分かる。
  • 名古屋仏壇を納得して買う方法が分かる。

はじめまして。当記事をご覧いただきありがとうございます。
この記事を書いている僕は、名古屋仏壇職人歴13年。
社長である父は塗師(うるしぬり職人)歴40年以上で、親子揃って伝統工芸士です。

参考外部リンク: 名古屋仏壇 認定伝統工芸士

そして、マルスエでは年間100本以上のお仏壇製造に関わっており、「名古屋で一番、名古屋仏壇に携わっている職人チーム」のひとつでもありますので、記事の信頼性担保になると思います。

名古屋仏壇とは

名古屋仏壇の特徴

  • 細かいパーツの全てが「ホゾ組」という、釘やビスを必要としない構造
    (補強や耐震のため、釘やビスは使用される)
  • ホゾ組の構造により、解体・組み立てが繰り返し可能で、お洗濯を繰り返せば半永久的に引き継いでいける
    参考記事:【完全修理・新品同様】お仏壇のお洗濯【予算や期間も解説】
  • 本体を乗せる台が「高台」になっている造り → 水害対策
  • 宮殿御坊造りなど、よりお寺に近い造り込み
  • 製造過程を分業することでクオリティを上げている → 八職
  • 伝統工芸品の産地指定を受けている

参考外部リンク:名古屋仏壇 | 愛知県

名古屋仏壇の歴史

起源

元禄8年(1695年)、高木仁右衛門が仏壇専門店「ひろや」を創業したのがはじまりです。

沿革

江戸時代に入り、檀家制度が確立されて、名古屋(当時は尾張藩)でもお仏壇が作られるようになりました。
尾張藩から営業権を与えられ、株仲間が作られました。
尾張藩領の良質な「木曽ヒノキ」を用いて、優れた技術者である宮大工や寺大工に研究され、今の名古屋仏壇のカタチが出来ました。

現在

檀家制度が確立されて以降、全国でお仏壇が作られましたが、供給不足が続いていました。
そこで、新素材を用いたり、伝統的な漆塗りの代わりに吹き付け塗装が使われたり、人件費の安い海外で製造されたりなどして、庶民化・量産化されました。
そういった歴史から、様々な素材・技法・輸入品を組み合わせて、現在では仕様や予算に合ったお仏壇を作ることが可能になっています。

そして、名古屋仏壇とは

  • 伝統工芸品としての名古屋仏壇
  • 地域ブランド「名古屋仏壇」

のことであり、一定の品質基準が設けられています。

名古屋仏壇の種類(伝統工芸品・名古屋ブランド)

その① 伝統工芸品

全ての工程が伝統的な技法且つ、名古屋仏壇商工協同組合に所属する組合員で製造されたお仏壇。

仏壇検査委員による検査に合格したお仏壇にのみ、製造番号入り証紙が発行される。

工程品質基準
木地ほぞ組による組み立て式構造・ヒノキ、及び同等以上の材料を仕様
胴横板に限り、ヒノキ貼り合板使用可能
屋根股木枡組み
ほぞ組による組み立て式構造
天井天井板は無垢板、または6mm以上の片面ヒノキ貼り合板
彫刻木材使用
塗り精製漆の手塗り
木目出し部分は呂色仕上げ
内金具手打ち金具
戸裏、丸柱、上段、長押のみ電気鋳造金具でも可
表金具手打ち金具
戸表の八双のみ電気鋳造金具でも可
蒔絵手描き、純金使用
箔置き
(金箔)
本金箔手押し
本金粉手撒き

その② 地域ブランド「名古屋仏壇」(登録商標)

地域ブランド「名古屋仏壇」の基準は以下の通りです。

  1. 名古屋仏壇の特徴である全行程9職

    「木地(天井)」「屋根」「彫刻」「塗り(呂食)」「内金物」「表金物」「蒔絵」「箔置」「仕組」

    のうち、名古屋仏壇商工組合員が5職以上たずさわっているもの、または、全行程の過半数以上の職種がたずさわっているもの。
  2. 組合内ブランド委員会へ申請し、審査確確認・認定されたもの。
  3. 認定番号入りの認定証紙を仏壇に貼付けること。

参考外部リンク:名古屋仏壇とは – 名古屋仏壇 公式サイト

名古屋仏壇の選び方

名古屋仏壇の大きさ

従来の名古屋仏壇は、規格があります。
お仏壇はご本尊を安置するためのもので、掛け軸の寸法が元になっているからです。

名古屋仏壇の規格は様々な呼び方があり、まとめると

名称
大仏3尺7寸37号200代
脇世間3尺1寸31号150代
小仏2尺7寸27号100代
二尺2尺20号50代

このような目安になります。

仏間に入れる場合は、〜2尺2寸までが半間仏間、〜3尺までが3/4仏間、それ以上は一間仏間が目安になります。

名古屋仏壇の宗派による違い

名古屋仏壇は宗派によってお仏壇のデザインが変わります。
宗派によってお寺のデザインが違うからです。

大きく分けて「本願寺派」「大谷派」「禅宗」に分かれます。

本願寺派の特徴

  • 金箔の箇所が多い(障子・長押・丸柱・段見附)
  • 屋根が、藁葺き屋根であること

大谷派の特徴

  • 障子は変わり塗りが多い(本山寺院の障子は梨地塗り)
  • 屋根が、瓦屋根であること

禅宗の特徴

  • 金箔が抑え気味(胴板、中柱、障子の組子、屋根が金箔ではない)
  • 須弥壇の形状が特殊
  • 障子の形状が特殊

ざっくりですが、以上の違いがあります。

名古屋仏壇の仕様と価格

名古屋仏壇の価格は仏壇店により掛け率が違い、マチマチなのですが、高級志向・安価志向の仕様はパターン化することが可能です。

工程高級  >  安価
木地国産無垢(ヒノキ) > 合板 > MDF
木目部分ケヤキ > セン > その他
屋根宮殿 > 宮殿御坊 > 本山用
天井本二重 > 二重繰り上げ > 平天井
彫刻細かく、立体感のあるものほど高級 > 荒く、貼り付ける造り(付け彫り)になるほど安価
塗り総漆総呂色 > 主要部漆 > 見附漆(仏壇を閉じた正面) > 総カシュー
内金具本地彫り > 手打ち・電鋳(電気鋳造) > プレス金具
表金具手打ち透かし彫り > 手打ち > プレス金具
蒔絵磨き蒔絵 > 高蒔絵(立体感がある) > 平蒔絵
箔置き漆押し > カシュー・ウレタン押し
金箔 1号 > 2号 > 3号 > 4号
縁付き > 断ち切り

少し複雑で、一見分かりづらいかもしれません。
上記の工程の組み合わせによって、お仏壇の価格が決定します。

お客さまの要望・予算によって、上記の工程をうまく組み合わせる技術が、仏壇屋の腕の見せどころでもあります。

以下のページで工程や意匠を詳しく解説しています。

【匠の世界】お仏壇の工程を三代目が解説!【会話形式】

【番外編】新型仏壇という選択(金仏壇以外の名古屋仏壇)

伝統的なデザインではない名古屋仏壇も、名古屋仏壇として製造可能です。

例えば、このお仏壇です。
一見、家具調仏壇のデザインです。

お客さまの悩みは

「家具調のような、部屋に合うデザインにしたい」
「でも、家具調仏壇は、ありがたみがない」
「洋室に合うのと、お寺の荘厳さを両立出来ないか?」

という要望のもと、出来たお仏壇が、、

外側は「家具調仏壇」、
開くと中は「金仏壇」というデザインです。

上記は一例ですが、このようなお仏壇も地域ブランド「名古屋仏壇」として、製造可能です。

名古屋仏壇以外の選び方は、下記の記事がおすすめです。

参考記事:【種類多すぎ?】お仏壇の選び方まとめ【予算も解説】

偽物に注意(商標は「名古屋仏壇」です。)

海外や他県で作られたお仏壇で、「名古屋仏壇」と違法に表記することは詐欺行為です。
「名古屋型仏壇」などの、紛らわしい表記も違法になります。

消費者相談センターに寄せられた被害届もあり、地域ブランド「名古屋仏壇」が作られた経緯でもあります。

名古屋仏壇を探している方は、伝統工芸品や地域ブランド「名古屋仏壇」の表紙が発行されているか、確認しましょう。

記事のまとめ

  • 名古屋仏壇の特徴は、ホゾ組・高台・豪華な屋根の造り。
  • 八職の分業化された職人から作られている。
  • 伝産指定を受けている。
  • 名古屋仏壇と表示できるのは「伝統工芸品」と地域ブランド「名古屋仏壇」
  • 選ぶ時は大きさ・仕様&価格・宗派を選択する。
  • 新しいデザインの名古屋仏壇も作られている。
  • 偽物に注意する。

こんな感じです。

マルスエ佛壇は色々なお仏壇を作っていますが、一番制作実績が多いのは、名古屋仏壇です。
記事を読んで、名古屋仏壇について疑問に思うこと、分からないことがあれば、お気軽にお問い合わせください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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