【お仏壇造りの工程】マルスエ佛壇のこだわり
✓ このページの内容
- お仏壇が出来上がるまでの職人さんの仕事内容
- お仏壇を納得して買う方法
- マルスエ佛壇のお仏壇造りへのこだわり
マルスエ仏壇は創業14年以来、お仏壇の漆塗り職人である「塗師」の技術を、3代に渡り磨いてきました。
漆塗り職人としてのこだわりはもちろんですが、仏壇店としてのこだわりもあります。その両面から、「マルスエ佛壇のお仏壇造りのこだわり」という視点でお仏壇造り風景をご紹介します。
お仏壇が仕上がるまで
お仏壇が仕上がるまでは合計3つの工程があります。
細分化すると、10工程になります。
- 素材造り
- 木地…お仏壇のメインフレーム
- 屋根(荘厳)…お仏壇の中身(須弥壇)
- 彫刻…欄間・屋根の彫刻
- 天井…お仏壇の天井
- 装飾の工程
- 塗り…下地〜上塗りまでの塗り
- 呂色…塗りの鏡面仕上げ
- 箔押し…金箔を押す工程
- 蒔絵…仏画を描く工程
- 錺金具造り
- 表金具…お仏壇を閉めた時の金具
- 内金具…お仏壇を開いた時の内部の金具
それぞれの工程で作成・加工されたパーツを「仕組み」と呼ばれる組み立て工程で仕上げることで、一本のお仏壇が出来上がります。
それぞれの職人さんに、聞いたら「なるほど」という合理的なこだわりがあるのが、お仏壇造りの面白いところです。
社長が出てきたので、職人のこだわり部分は社長の解説をご参考にしてください。
…ちなみに、社長のお仏壇へのこだわりは異常でして、「リカちゃん人形の世界の1/4名古屋仏壇」を、会社のお金で作ってしまったくらいです…
(あれはいつ売るんだろう…)
木地造り
お仏壇の木地は【木地・屋根(荘厳)・彫刻・天井】という、4人の職人さんから作られます。
この工程で、お仏壇の「カタチ」が出来上がりますので、お仏壇を置く場所の採寸やデザインなどのお客さまの要望をしっかりまとめて、製作していきます。
まずは、骨格部分になる、【木地・屋根(荘厳)・彫刻・天井】 の製作風景を見てみましょう。
木地造りの工程
木地
木地はお仏壇のメインフレームです。
お仏壇の外装全てと、内装の屋根以外の部分を製作します。
木地は数多くのパーツから作られています。
少しの歪みが積み重なると全体が大きく歪んでしまうため、精巧な造りになっています。
一方で、後のことを考え「塗りの厚み」や「木の動き」を予測して、アソビを残して作る必要もあります。
この「精巧さ」と「柔軟さ」のバランスを取り、お仏壇の骨格を造ります。
POINT - 仕上げの一例 -
- 総ひのき…すべての木材が、国産ひのきで造られる。
- 無垢ハギ板…木目だし部分の木材が、無垢のケヤキ・センで造られる。
- 合板・MDF…合板・MDF(圧縮ボード)で代用してコストダウンする。
屋根(荘厳(しょうぐん))
屋根(荘厳)は、お仏壇のメインであるご本尊を安置するための、メインステージです。
寺院建築の須弥壇(しゅみだん)宮殿(くうでん)=お仏像が乗っているところ、をミニチュアで再現しています。
そのため、木地造りの中でも、ひときわ細かい造形が必要です。
寺院建築の伝統的なデザインを大切にする一方、高欄(こうらん)が取り外し可能であったりなど、毎日使うお仏壇の使いやすさを考えて工夫が施されています。
POINT - 仕上げの一例 -
- 宮殿…お寺の宮殿(くうでん)の造り
- 宮殿御坊(ごぼう)…お寺の宮殿を模した造り
- 荘厳…お仏壇向けに、省略した造り
彫刻
彫刻も、寺院建築の欄間と、宮殿の彫刻を再現したものです。
各宗派の寺院で飾られている「天人」「花鳥」「龍」「獅子」「羅漢」などの多彩な彫刻を、ミニチュアで製作します。
「小さい」「立体的」「伝統的なデザイン」を再現する、お仏壇特有の彫刻技術があり、専門の彫刻師にしか作れない世界があります。
POINT - 仕上げの一例 -
- 丸彫(まるぼり)…ひとつの素材を彫り込んだ彫刻
- 付彫(つけぼり)…彫刻パーツを組み合わせた造り
- 彫りの深さ・リアルさ…深く彫ると立体的になる。精巧に彫るとリアルになる。
天井
天井も寺院の「格天井(ごうてんじょう)」と言われる、格式の高い造りを縮小再現しています。
格天井の特徴は、曲線の美しさと、立体的かつ精巧な造りの美しさです。
正方形の格子と、
滑らかな円弧を持った「こえび」を組み合わせ、大きな格子の中に更に小さな格子を複数組込んだり、天井面を折り上げて段差を設け立体感を演出しています。
POINT - 仕上げの一例 -
- 繰り上げ…1重、2重、3重繰り上げと、繰り上げの重ねで立体感を演出する。
- 天井絵…寺院格天井(ごうてんじょう)のように、天井に仏画を入れる。
- 仕上げ…金箔を押す。安価なものは、金塗装。
…以上のように、お仏壇の素材は、4人の職人さんによって造られています。「匠の技」を感じますね。
そんな専門性の高い「匠の技」を、綿密な打ち合わせで計画するのがお仏壇造りのスタートです。
こだわりポイント
装飾の工程
木地ができたら、いよいよ【塗り・呂色・箔押し・蒔絵】からなる装飾の工程です。
そして、マルスエ佛壇は装飾の職人でもあるので、装飾には1番のこだわりがあります。
新しく出来た、これから塗る木地を見ると、ワクワクしますね。お仏壇をお造りになる際は、ぜひ見学にきてください!
(社長もノってきたようです)
たしかに、お仏壇を製作する上で、装飾は欠かせない工程です。
装飾の良し悪しでお仏壇の品質を決定付けてしまう、と言っても過言ではありません。
各職人のこだわりを見ていきましょう。
塗り〜蒔絵までの工程
塗り
「塗りはお仏壇の命」とも言われるのは、塗りによってお仏壇の耐久性が大きく決まり、また印象も決定するからです。
お仏壇の塗りに使われる漆には「麗し」という別名があり、独特の高級感があります。
漆には様々な伝統技法があります。「透け漆」「本朱」「素黒目」などの漆を用いて色を表現したり、「梨地」「箔撒き」「螺鈿」などの変わり塗りという技法で、極楽浄土の世界を表現しています。
POINT - 仕上げの一例 -
- 漆…上塗りに、刷毛塗で漆を塗る。
- カシュー…上塗りにカシュー樹脂塗料を使う。吹付け塗装も取り入れられる。
- 下地の違い…
- 堅地…下地に漆を使う、伝統的な下地。高耐久。
- 泥地…下地にニカワを使う、伝統的な下地。堅地より安価。
- サーフェイサー…科学塗料で下地をする。安価な反面、木材との相性は △。
呂色(ろいろ)
呂色は塗りの最終加工の工程です。上塗りで終わりではないんですね。
「呂色師」と呼ばれる専門の仕上げ職人が、塗り上がった塗り面を、鏡面に磨きます。
「駿河炭」という漆を研ぐための研ぎ炭で、塗り面の凸凹を平坦に研ぎつけた後、漆を摺り込ませながら1000番…2000番…3000番…と塗り面を整えていった漆は、顔がくっきり映るほど鏡面に仕上がります。地味な工程かもしれませんが、とても難しく、お仏壇造りを陰で支える職人の技術です。
POINT - 仕上げの一例 -
- 総呂色…全ての漆塗り面を鏡面に仕上げる。
- 見附呂色…正面のみ鏡面仕上げ。
- 戸板呂色…最も重要な、扉の木目板の鏡面仕上げ。
箔押し
お仏壇のデザインの元になっている、「極楽浄土の世界」を不浄で価値のある金で装飾するのが、箔押しの工程です。
静電気の起きない、竹製の「箔箸」を使って、0.0002mmという極めて薄い金箔を自在に操る職人さんです。
その薄さは少しの風で飛んでいってしまうほど軽く、箔押し職人は息遣いにも気を配ります。
金箔は1〜4号という規格があり、数字が小さいほど金の含有量が多く、高級です。
POINT - 仕上げの一例 -
- 箔の号数…1号色…23.4 金(97.66%) 4号色…22.7 金(94.43%)
- 縁付…主に手作業による、伝統金箔。縁付特有の柄がある。
- 断切…コストを省いた、現代金箔。金含有量は縁付きと同じ。
参考外部リンク:伝統金箔・縁付と現代金箔・断切 | 箔座[HAKUZA]- 金箔の魅力を現在の価値で表現
蒔絵
「天人」「花鳥」「獅子牡丹」などの仏画には、ストーリーが込められています。
そんなストーリーを、「本金消粉」や「青貝」「漆」「金梨地」などの材料を使い、蒔絵筆という専用の筆で表現するのが蒔絵師です。
熟練の蒔絵師の筆には迷いがなく、蒔絵筆を自在に使って、豪華で繊細に仏教の世界のストーリーを描きます。
お仏壇造りの工程の中でも、芸術性が高く、職人によって印象が大きく変わることも蒔絵の特徴です。
POINT - 仕上げの一例 -
- 磨き蒔絵…金を蒔いた後、うるしで固めて磨いた蒔絵。高耐久
- 消粉蒔絵…うるしで絵を描き、金粉を撒く。
- 高蒔絵…絵を盛り上げて、立体感を出した蒔絵。
- 平蒔絵…平坦な蒔絵。
- 蒔絵シール…印刷された蒔絵風のシールを貼る。
…装飾の工程は、製作ではなく加工の工程になります。
それぞれの職人が息を合わせ、次の工程がうまくいくよう加工するのも「匠の技」です。
そのような好循環を生み出し、お仏壇の品質を管理するのが、良いお仏壇を造るコツです。
こだわりポイント
錺金具(かざりかなぐ)造り
錺金具(かざりかなぐ)はお仏壇に欠かせない装飾パーツです。
また、お仏壇はただ飾るだけではなく「開く」「閉じる」「引き出す」と、動きのある製品なので、蝶板やツマミなどの金具も、機能的に造られているんですよ。
最後に、お仏壇を彩り、開閉機能をもたらす錺金具造りの工程をご紹介します。
錺金具造りの工程
表金具
お仏壇を閉めた時の、外側の金具を表金具と言います。お仏壇の玄関と言える、扉の金具・台の金具を製作します。
中でも「八双」というカンヌキ部分、扉を開閉する蝶板金具は装飾性と機能性が見事に表現されています。
素材は銅や真鍮を使い、デザインに沿って鏨(たがね)で唐草や花、葉などの模様を刻み込んでいきます。
出来上がった金具は、宣徳(せんとく)着色され、茶褐色に仕上がります。
POINT - 仕上げの一例 -
- 透かし金具… 地金(胴・真鍮の板)を打ち抜き、透かした金具
(写真左は打ち出し金具、右は透かし金具) - 製法…
- 手打ち…鏨を打って柄を付ける。自由度、精巧度が高い。
- 電気鋳造…電解した胴イオンを型で形成する。安価で精巧な反面、脆い。
- プレス…凸と凹の金型で、素材を挟み込み形成する。安価。
- 地金の厚み…厚いほど立体的、高耐久。厚いほど難しい。
内金具
お仏壇を開いた時の、全ての錺金具を造るのが内金具師の仕事です。
内金具は数が多く、小さく、種類も多岐にわたります。そのため、数え切れないほどの種類の鏨(たがね)を代々引き継ぎ、製作しています。
素材は銅製が主で、製造後は金メッキして、仕上がりです。
POINT - 仕上げの一例 -
- 地彫り…地金を両面から立体的に打ち出す最高級の造り。
- 毛彫…地金を表から平面的に打ち出す、最も古くからある製法。
- 製法…表金具・製法の項参照
…金具はお仏壇の産地によって色々な種類がありますが、マルスエ佛壇がメインで製作している名古屋仏壇は、金具がとても多く使われていることも特徴のひとつです。
そのため、名古屋では「表金具」「内金具」をそれぞれ専門職として分業しているんですね。
こだわりポイント
以上、合計10人の専門職人によって、お仏壇が造られていることを解説しました。
とても1記事で各職人のこだわりを書ききることは出来ません。
まずは概要を知っていただき、おトクに納得してお仏壇を選ぶための、参考にしてくださいね。
お仏壇を納得して買う方法
前項で、お仏壇の工程と、それぞれのこだわりをご紹介しました。
これらを組み合わせて、要望・予算によるご提案をするのが仏壇店のしごとですが、お客さま自身が理解しておくことで、理想のお仏壇選びに繋がります。
具体的に、それぞれの仕上げの違いが、お仏壇の品質を左右し、また価格も上下するからです。
- サイズを選ぶ。
- 仕様を比較して、予算を組み立てる。
以下の記事で、お仏壇のサイズ・仕様と価格・宗派によるデザインの違いを解説しています。
詳しくは:【サイズ・価格・宗派】金仏壇まとめ【選び方も解説】
「予算の上限はないので、とにかく1番いいのください!」
そんなお客さまがいたら、職人冥利に尽きるというものですが、そうもいきません。
納得行く仕上げで・納得の予算で、お仏壇を選びましょう。
「漆が塗ってあって、○○ の大きさで、予算は ○○ 円」と、具体的に出来るとベストです。
お仏壇造りのまとめ
- お仏壇は10の工程から造られる。
- それぞれの職人のこだわりで、お仏壇の品質が保たれている。
- 各工程の仕上げにグレードがあり、要望・予算に合わせて選択出来る。
- サイズ・仕上げ・希望の予算を明確にすることが、理想のお仏壇選びのコツです。
マルスエ佛壇のこだわり
オーダーメイドによる製造直売
マルスエ佛壇では、お仏壇を自社製造・直売しています。
お客さまと直接繋がり、オーダーメイドにて、お仏壇を販売しています。
オーダーメイドによる2つのメリットによって、品質面と価格面の両面で、理想のお仏壇を造ることができます。
オーダーメイドによる2つのメリット
- 仕上げの組み合わせによる要望・予算の調整が可能なこと
- 過去の匠によるパーツ在庫(高品質・低価格)が、組み合わせ可能
自社工場での品質管理
マルスエ佛壇では「漆塗り」「呂色」の伝統工芸士が在籍しています。
また、漆塗りと親和性のある「木地」「金箔」「蒔絵」も、自社施行可能です。
自社製造は品質管理と中間マージンの削減に貢献します。
自分で作るから細部にこだわれるし、外注を減らすことで原価を抑えることが可能というのが理由です。
製造問屋の技術
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