【撤去・廃棄の悩み解決】お仏壇の処分方法【DIYも可能です】
上記の疑問に答えます。
✓ 本記事の内容
- お仏壇の処分について
- お仏壇を処分する前に
マルスエ佛壇は大正14年より続く仏壇店です。
歴史が長いので、ありがたいことに、 先代が作らせていただいたお仏壇の相談をよく頂いています。
そしてこの記事を書いている僕は、アラサー子持ちでして、現代特有の仏壇の悩みも理解できます。
最近のDIYで何でもやってしまう知人などの知見を交えながら、解説していきます。
お仏壇の処分方法
お仏壇は、仏教を信仰するための宗教用具です。
また、多くのお仏壇は木製の塗装製品とも言えます。
宗教的な考え方、製品特性・法律上の考え方を切り分けて解説します。
お仏壇を処分する場合は3通りあります。
- 自分で廃棄する
- 業者に依頼する
- お寺にて、お焚き上げしてもらう
それぞれの方法を見ていきましょう。
①自分で廃棄する
お仏壇は自分で処分することが出来ます。
なぜなら、お仏壇は、廃棄物処理法で粗大ごみと定義されます。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。 (定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
*廃棄物処理法より引用
自分で処分する場合は「一般廃棄物」になるので、家庭ゴミの粗大ごみに分類されると思います。
参考外部リンク:名古屋市:粗大ごみ手数料のめやす(暮らしの情報)
上記は名古屋市HPですが、表でいくとお仏壇の処分料は1,000円ですね。
ただし、名古屋市の場合は分解する、という条件が付いており、注意です。
参考外部リンク:大田区ホームページ:粗大ごみ品目一覧
また、例えばですが、上記は大田区のHPでして、お仏壇を調べると「箱物家具」と分類されるようです。
「箱物家具」は、三辺の大きさによって、処分料が違うようですね。
このように、地方自治体によって品目や処分代が違うので、お住いの地域のルールを調べて処分しましょう。
個人で処分する場合は「一般廃棄物」として扱えるので、安く済みます。
(仏壇店の場合ですと「産業廃棄物」+「供養」となり、処分代が高くなります)
②業者に依頼する
また、お仏壇は仏壇店や処分業者で処分してもらうことも可能です。
「大きい仏壇で、運ぶのが難しい」 「先祖代々使ってきたものを、ゴミに出すのはちょっと…」
そんな場合は、業者に依頼して、引き取り処分をお願いしましょう。
「産業廃棄物」として処分されるので、個人で処分する場合より高くなります。 また、取りに来てもらう場合は引取手数料も必要になるので、お見積りを依頼しましょう。
③お寺でお焚き上げしてもらう
お寺によってはお焚き上げが可能です。
お焚き上げとは、粗末に扱うことができない品物や故人が生前に大切にしていたものを焼却して処分する宗教儀式です。
理屈で言えば、はお仏壇はご本尊を祀るための入れ物であり、後述する閉眼供養をすれば「モノ」として動かしたり、処分したり出来る、ことになるのですが、とはいえ心情的にゴミとして捨てづらいという思いが残る場合もありますよね。
そういった場合はお焚き上げ可能なお寺に、お焚き上げ供養をお願いしましょう。
誤解を恐れずに言うと、お焚き上げは法律上、屋外焼却に当たるため、基本的には禁止されています。
昔からある習慣なため、例外的に地方自治体の条例で認めている、という現状です。
ですが、最近は大気汚染の影響や、近隣住人の苦情により、お焚き上げを中止しているお寺もあります。
年々お焚き上げができるお寺が減っていますので、お寺にお問い合わせして、お焚き上げ可能か確認してください。
処分時の注意点
仏具
お仏壇に付属する仏具はお仏壇本体とは別に、分別する必要があります。
個人で処分する際は「可燃」「不燃」などの、地方自治体のルールに沿って分別します。
引き出し
お仏壇は収納スペースがありますので、処分する前にすべての引き出しの中身を確認しましょう。
通帳や印鑑(なかには現金が入っていたことも!お客さまも驚いていました)などが入っていることもあり、注意です。
また、大切なものを収納しておくための「隠し収納」が付いているお仏壇もあります。
構造をよく確認して、大切なものを誤って一緒に処分しないよう、注意です。
閉眼供養(遷仏法要)
この項は仏教の宗教的な考え方です。
お仏壇を移動したり、処分する際は儀式が必要です。
浄土真宗以外の宗派の場合
浄土真宗以外の宗派の場合は、お仏壇を安置した後「開眼法要(魂入れ、精入れ)」をしていると思ったほうがいいでしょう。
これは、仏の魂を入れて、礼拝の対象としますよ、という儀式です。
仏像を作る時に、最後の工程で目を入れる時に仏の魂が宿り仏像になることから、「開眼法要」と呼ばれています。
上記のことから、浄土真宗以外のお仏壇には魂が宿っている状態です。
移動したり処分する際は、お仏壇から魂を抜き、礼拝の対象から「モノ」として扱う必要があります。
それを行う宗教儀式が「閉眼供養(魂抜き、精抜き)」です。
浄土真宗の場合
浄土真宗の場合は、魂という概念がありません。
なので、魂を抜く儀式の代わりに、感謝を表す「遷仏法要」という儀式を行います。
いずれの儀式もお寺さんに来てもらって、お経を上げてもらう必要があります。
処分する前に
仏教の信仰は続けたいけど、様々な理由で、お仏壇の処分を検討中の場合は、以下の方法を見ておくといいと思います。
- お仏壇リメイク
- お仏壇の買い替え
- 最低限のものを残す
①リメイク
スペースやデザインの問題でお仏壇の処分を考えている場合は、リメイクが有効かもしれません。
リメイクによって、大きさ・デザインの変更が可能です。
「旧宅にお仏壇がある。新築にお仏壇を持っていきたいけど、大きすぎて入らない」 「引越し先には和室や仏間がなく、洋室に置くと金仏壇のデザインが部屋に合わない」 「住宅事情で、実家のお仏壇を引き継ぐか、仏壇じまいするか悩んでいる」
このような悩みを解決する方法が、お仏壇リメイクです。
詳しくは:【価値を引き継ぐ修復】お仏壇のリメイク【おトクな方法】
②買い替え
リメイクが出来ない場合や、新しく買い替える予定の場合は、処分と同時に買い換えると少しおトクかもしれません。
仏壇店によっては、買い替えの場合は処分代が半減、または無料になることもあります。
次にお仏壇を安置する場所や、そこに合うデザインを考えつつ、お仏壇を探しましょう。
参考記事:【種類多すぎ?】お仏壇の選び方まとめ【予算も解説】
③最低限残す
リメイク・買い替えに当てはまらないけど、仏教の信仰を続けたい場合は、仏具を最低限残して飾ることも可能です。
恐らく、お仏壇を処分したい理由はスペースやデザインが原因かと思います。
そこで、お仏壇は処分しつつ、ご本尊・ご位牌・必要最低限の仏具を残して仏事を続けることが出来ます。
必要になる仏具は以下の記事にまとめていますので、参考にしてください。
詳しくは:【仏具・お供え】お仏壇の飾り方まとめ【各宗派のルール】
まとめ
記事をまとめます。
- お仏壇を処分する際は、法律上のルール・宗教的なルールを切り分けて考えましょう。
- 法律上「粗大ごみ」として扱う場合が多い(地方自治体によって違う)
- 宗教上は「閉眼供養」または「遷仏法要」の儀式を行うことで、「モノ」として移動や処分ができるようになる。
- 自分で処分する場合は、地方自治体のルールを確認しましょう。
- リメイクや買い替えを見ておき、処分の予定を立てましょう。
こんな感じです。
お仏壇を処分する方法を書いたり、「粗大ごみ」などと表現するのは心が痛みますが、お仏壇は祈りの道具であると同時に、木製の塗装製品です。
当然、製品には寿命があります。
エコの観点からも、製作者は処分方法も同時に考える必要がある時代であると思います。
マルスエ佛壇では、不要になったお仏壇を引き取り、まだ使えそうな部品を回収する・資源として再利用する活動をしています。
少しでも有益な処分が、お仏壇への感謝に繋がると思っています。