【仏像?掛け軸?】お仏壇のご本尊まとめ【仏様はお仏壇の主役です】
✓ 本記事の内容
- ご本尊の選び方
- ご本尊を選ぶ時の考え方
- ご本尊の取り扱い
はじめまして。当記事をご覧いただきありがとうございます。
当店は大正14年創業以来、さまざまなお客さまのお仏壇と関わってきました。
宗派ごとにどのご本尊を選べばいいか提案するのが仏壇屋の仕事でもあります。
そして、記事を執筆している僕は仏壇屋の息子ということもあり、仏教について考えることが多いので、宗教的な目線・お客さま目線でご本尊について執筆できるので、信頼性担保に繋がると思います。
お仏壇のご本尊とは
仏教のルーツを辿ると、なんと開祖であるお釈迦様は偶像崇拝を推奨していません
(目に見える仏像や遺影、祭壇、お寺を作らない方針)
ですが、お釈迦様の死後、1 ~ 3 世紀頃にかけて仏教美術が開花し、仏像が造られるようになりました。
「お釈迦様は偶像崇拝を推奨していなかったけど、やっぱり仏像とか目に見えるものがあった方が祈りやすいよね」という信者の心境に答えたものだそうです。
このあたりの、時代に合わせていく寛容さも、仏教の魅力のひとつかと思います。
そのような背景がありますので、知識は知識として判断材料にしつつ、お客さまが「自分が納得して、安置する」ことが大切と、当店では考えています。
ご本尊はお仏壇の主役
ご本尊はメインです。
お仏壇を置くのは信仰のため。
何を信仰するかというと、各宗派のご本尊だからです。
「でも、私はご先祖様に手を合わせています」
「位牌がメインじゃないの?」
いろいろな考えがあっていいと思います。
厳密な決まりごとが少ないのも、仏教の素晴らしいところです。
今回、僕が執筆していることは教科書的なキマリゴトであり、絶対的な価値ではないので、「ご本尊と仏壇ってそういう関係なんだ〜」くらいに読んで頂けると嬉しいです。
読んで納得してくださる方が少しでもいれば幸いです。
宗派別ご本尊
宗派 | ご本尊 | 右側 | 左側 |
---|---|---|---|
浄土宗 | 阿弥陀如来 (あみだにょらい) | 善導大師 (ぜんどうだいし) | 法然上人 (ほうねんしょうにん) |
浄土真宗本願寺派 (お西) | 阿弥陀如来 (あみだにょらい) | 親鸞聖人 (しんらんしょうにん) | 蓮如上人 (れんにょしょうにん) |
浄土真宗大谷派 (お東) | 阿弥陀如来 (あみだにょらい) | 親鸞聖人 (しんらんしょうにん) 又は、十字名号 | 蓮如上人 (れんにょしょうにん) 又は、九字名号 |
天台宗 | 阿弥陀如来 (あみだにょらい) | 天台大師 (てんだいだいし) | 伝教大師 (でんぎょうだいし) |
真言宗 | 大日如来 (だいにちにょらい) | 弘法大師 (こうぼうだいし) | 不動明王 (ふどうみょうおう) |
曹洞宗 | 釈迦如来 (しゃかにょらい) | 承陽大師 (しょうようだいし) | 常済大師 (じょうさいだいし) |
臨済宗 | 釈迦如来 (しゃかにょらい) | なんと、決まりがない!(各派による) | |
日蓮宗 | 曼荼羅 (まんだら) | 鬼子母神 (きしぼじん) | 大黒天 (だいこくてん) |
上記の表が宗派ごとの一般的なご本尊になります。
「一般的な」と表現したのは、例外はよくあるよ、ということです。
例えば、曹洞宗を信仰している場合、表から見ると、釈迦如来を安置することになりますよね。
ですが、檀那寺(ふだん仏事をしてもらっているお寺のこと)では何か縁があって、阿弥陀如来を安置しており、阿弥陀如来を勧められる、などです。
檀那寺に相談して、「自分で納得して、安置する」のがいいと思います。
掛け軸?仏像?好きな方を飾ろう
好きなものを飾りましょう。
日本の仏教は厳密なルールを決めてないのが現状です。
例えば、浄土真宗大谷派のご本尊は阿弥陀如来で、どちらかというと掛け軸が多いです。
ですが、お寺は基本仏像だし、在家でも仏像を飾られている方も多くいます。
その時代の、各宗派本山の方針はありますが、厳密なルールとしては定義されていないので、好きな方を飾ればいいと考えます。
✓ ご本尊の選び方まとめ
- ご本尊はメイン。お仏壇は祭壇。
- 宗派ごとに信仰するご本尊が異なる
- 仏教のルーツは「偶像崇拝非推奨」
時代に合わせて変化してきたので、ご本尊のカタチにこだわらなくても良い
以上がご本尊の選び方・考え方です。
もし、既にご本尊がある場合や、人から引き継ぐ場合、信仰以外の目的がある場合は次の項をお読みください。
掛け軸・仏像の取り扱い
既に持っているものを修復できる(修理・表具)
既にご本尊を持っていれば、修復も可能です。
掛け軸は表具直しが可能。
仏像は塗り直しが可能です。
「代々受け継いできた仏像や掛け軸は直さない方が良いと聞いたんだけど、、」
と言うような話を聞いたことがあるかもしれません。
ですが、職人目線ですとご本尊も「制作物」です。
物である以上経年劣化は避けられず、長く使うには修復が必要です。
先述したように「自分で納得して、安置する」ことが大切なので、修復が必要な場合は修復した方が良いでしょう。
どうしても、新品のようになるのが嫌だな、という場合は「古色仕上げ」という、古い風合いを残したまま状態は回復するという直し方もあります。
番外編 〜柔軟な考え方〜
好きな仏像を置くことも可能です。
理由としては、元々仏教は偶像崇拝を推奨しておらず、自由だから、ですね。
たとえば、「千手観音が好き」という場合、千手観音を厨子という、仏像を入れる祭壇に入れて祀ることもできます。
また、最近だと「手元供養」といって、ご本尊や仏具などを省略して、位牌をメインに安置する、「故人に祈るお仏壇」というのもあります。
この辺りは本当に自由で、逆に戸惑うかもしれませんが、やはり肝になるのは「自分が納得して、安置する」ことだと思います。
イメージしづらい場合は、お問い合わせくだされば、情報提供可能です。