【仏壇のお供え】仏飯について【毎日ご飯じゃなきゃだめ?】
✓ 本記事の内容
- お仏壇のお供えのご飯について分かる。
- 柔軟な代用方法が分かる。
この記事を書いている僕は仏壇職人歴13年です。
そしてマルスエ佛壇は、大正14年に創業してから、数多くのお客さまのお仏壇に関わってきました。
ありがたいことに、毎日、色々なお客さまに来ていただいています。
そんなお客さまから様々な悩みを聞いて、お仏壇の飾り方の相談に乗るのも、マルスエ佛壇にできることのひとつです。
今回はそんな経験から、お仏壇の五供のひとつである「ご飯」についてまとめます。
お仏壇に供えるご飯「仏飯」とは?
お仏壇のお供え物は五供といって【香・花・灯り・お水・ご飯】の5つです。
まとめ記事:【仏具・お供え】お仏壇の飾り方まとめ【各宗派のルール】
お仏壇に仏花を飾るのは、その一つである「ご飯」のお供えになります。
お寺さんでは正式名称の「飮食(おんじき)」をお供えすると言います。
浄土真宗では「お仏供さん(おぶくさん)」と呼んだりしますね。
五供のなかでも、特に重要視されているお供えです。
ご飯をお供えする意味
ご飯=「満足に生活できていること」と表して、感謝するためにお供えする、と言われています。
参考外部リンク:よくある質問(答え11~20) | 真宗佛光寺派 本山佛光寺
宗派によって、意味の違いが多少あるのですが、メインの意味は上記の通りです。
ご飯を食べる時に「いただきます」と言うのと、近い感じがしませんか?
ご飯をお供えするタイミング
ご飯をお供えする場合は、ご飯を炊いた時でいいと思います。
なぜなら仏飯は「感謝」を表すものであり、仏様やご先祖が食べるわけではないからです。
生活習慣に上手く組み込みましょう。
とはいえ、毎朝お供えすべき、という話を聞いたことがあるかもしれません。
昔は毎朝お米を炊く習慣があり、その名残かと思います。
また、仏飯のルーツは、お釈迦様がご存命の頃に、お釈迦様にお供えするご飯だった、という説もあります。
お釈迦様は午前中にしかご飯をお召にならなかったそうで、その名残りなのかもしれませんね。
無理をして事務的にこなすと負担になり、本来の「感謝する」ことを忘れがちです。
そうなってしまっては、本末転倒ですよね。
ムリなく、感謝の気持ちを忘れず、続けていけると最高ですね。
お供えのしかた(器・数・盛り方)
器の名称
仏飯を入れる器は「仏飯器(ぶっぱんき)」という仏具です。
浄土真宗では「仏器(ぶっき)」と呼ばれることが多いです。
また、「おぶくさん」と聞いたこともあるかもしれません。
何個お供えする?
ご本尊・御脇掛に1つずつ置き、合計3つお供えします。
浄土真宗の場合でご本尊が掛け軸でなく仏像の場合、ご本尊に2つ置いて、合計4つになる場合もあります。
詳しくは:【仏具・お供え】お仏壇の飾り方まとめ【各宗派のルール】
こっそりアドバイス…
「4つ!?そんなに置くの!?」
4つ置くって大変ですよね。
そんな方に朗報!というわけではないのですが…
お仏壇が小さい場合は物理的に1つしか置けない場合もあり、1つでお供えしている方も多いです。
もちろん、お寺では規定数お供えしているので、習った方がより良いとは思いますが。
この辺りは生活習慣に合わせて、ムリなく行うことをオススメします。
どうやって盛るの?
普通にご飯を盛り付ければOKです。
ただし、浄土真宗のお寺では正式とされる盛り方があります。
- 浄土真宗本願寺派(お西)…山型に盛る。蓮のつぼみをイメージしている。
- 浄土真宗大谷派(お東)…円筒型に盛る。蓮の実をイメージしている。
お寺の内陣やお仏壇を極楽浄土のジオラマとして表現しているので、浄土真宗(お西)の場合は、仏教的に重要な蓮を、ご飯のカタチで表現しているのかもしれませんね。
お供えしたご飯の処分は?
ご飯をお供えするのは「感謝すること」なので、手を合わせたらお下げ出来ます。
ご飯が炊けたら食事の前にお供えして、お勤めが終わったら下げて食べてしまえば無駄がないですね。
仏飯の代用方法
白米以外をお供えすることも可能です。
ご飯をお供えする意味を「満足に生活できていることへの感謝」とするならば、「主食」をお供えして感謝することに意味があると教えてくださるご住職からのアドバイスを頂きました。
その日食べないご飯をお供えして、捨ててしまうのはもったいないかな…と。
参考外部リンク:圓福寺 | パンは供えてはいけないもの?仏壇のお供えもの新作法
この辺りは宗派やお坊さんの解釈などもあり、もしかしたら注意されるお坊さんもいらっしゃるかもしれません。
筆者の場合は「なぜご飯なのか」お坊さんと議論するのも楽しめたりするのでいいですが、そのような変わった趣味がある方は少数派かと思いますので(笑)
もしご飯を毎日あげることに困っていたら、お付き合いのあるお寺さんに、お供えについて聞いてみると、有益なアドバイスが頂けるかもしれません。
記事のまとめ
- ご飯をお供えする理由は「満足に食べられる生活に感謝」することです。
- 生活習慣に合わせて、継続可能な方法でお供えするのが、継続のコツです。
- 食事の前にお供えして、食事で食べてしまえば無駄がなく、ベスト。
- ご飯以外でも「満足に食べられる生活に感謝」することが可能、という考え方もできます。
こんな感じです。
仏教的なお作法というものは、歴史があり、過去の習慣というものがあります。
過去の習慣を大切にするのは、日本人の美学で、すばらしいものです。
ですが、それが負担になってしまい「面倒だ…」と感謝の気持ちを忘れてしまったら、元も子もありません。
月並みですが、感謝の気持ちが大切です。
そして仏教は、こころのやすらぎを得るためのものです。
その本質を見失わないように、お仏壇を運用していきましょう。
記事の疑問点、仏具の疑問点があればお問い合わせ頂ければ、お答えします。